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2019.02.20不倫相手に対して離婚の慰謝料を請求できるか(最高裁判決)

昨日、元配偶者の不倫相手に対する慰謝料請求について、最高裁判所の判決がありました。元夫は、元妻の不貞行為を知り、その後夫婦間で離婚調停をしましたが、元妻の不倫相手に対する慰謝料請求は、3年の消滅時効が成立してしまっていました。そこで、元夫は、元妻の不倫相手を被告として、不倫相手が元妻と不貞行為に及び、これにより離婚をやむなくされ精神的苦痛を被ったと主張して、不法行為に基づき、離婚に伴う慰謝料を請求したという事例です。
一審、二審は、元夫の主張を認めていたのですが、最高裁は、元妻の不倫相手に対する請求を否定しました。
以下、引用します。
「夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は,これにより当該夫婦の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても,当該夫婦の他方に対し,不貞行為を理由とする不法行為責任を負うべき場合があることはともかくとして,直ちに,当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される。」
「第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは,当該第三者が,単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。」(平成31年2月19日最高裁判所第三小法廷判決)
すなわち、不倫相手が元夫に対し、不貞行為を理由とする不法行為責任を負うことは、これまでの判例のとおり認められるものですが、不倫相手が、直ちに、その夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解されたのです。 ただし、いかなる場合も負わないのかというと、そうではなく、不倫相手が単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず、当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときには、責任を負うことがある、と判断したのです。
ここで、注意しなければならないのは、不貞行為の相手方に対する不貞行為を理由とする慰謝料請求と、不貞行為の相手方に対する配偶者と離婚に至ったことを理由とする慰謝料請求を区別しなければならないことです。
不貞行為がきっかけとなって、夫婦が離婚に至ってしまうことはよくあることですが、そうであったとしても、不倫相手が直ちに離婚させたことを理由とする不法行為責任は負うことはないとされました。この判決の事例でも、不貞行為が発覚した後、不貞関係は解消され、その後4年近く、夫婦で同居をしていたと認定されています。ただし、この判決の事例とは異なって、たとえば、不倫相手が、その夫婦を離婚させようと意図して元妻と結託して離婚の話し合いに関わってきた場合や、知恵を授けていたなどの事情が特にあるときには、責任が認められる余地を残したのです。
この判決からすると、離婚を先に進めておいて、離婚が成立してから、不倫相手を訴えようと考えているときなどは、不倫相手に対する3年の消滅時効を意識して行動しなければならないこととなります。

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