毎日暑い日が続いていますが、皆さまいかがお過ごしですか?皆さまの最寄り駅周辺も同様かと思いますが、むらやま法律事務所のある三軒茶屋駅周辺でも、以前から放置禁止の表示があるところにいわゆる「放置自転車」が多く停まっています。
ここ最近、区ではこの「放 置自転車」の撤去作業を強化しているようです。不定期に撤収車がやってきて、容赦なく自転車を撤去していく光景が見受けられます。自転車は指定の保管場所 に集められ、返却されるには身分証明書の提示に加えて、撤去保管手数料3千円を支払わなければなりません。
ここで簡単なクイズをお出ししようかと思います。
放置して撤去されてしまった自分の自転車を、保管場所から無断で持ち出してしまった場合、窃盗罪になるでしょうか?
答えは○です。
自 分の自転車を持ち帰っただけなのに、どうしてと思われる方がいらっしゃるかもしれません。たしかに、保管場所に集められたからと言って、自分の自転車でな くなるわけではありません。すわなち、自転車は自己の所有物です。しかし、区や市の条例に基づいて、保管場所に集められた自転車は管理者(区長など)の管 理下にあるものです。それを無断で持ち出してしまうことで窃盗罪が成立するのです。これは、形式的には、刑法242条に、自己の財物であっても、他人が占 有するものであるときは、窃盗罪の対象になる他人の財物とみなす、という規定があるからです。実質的には、判例により、刑法の規定が「個々の財物に対する 事実上の所持それ自体を保護の対象としている」とされており、難しく言えば、窃盗罪の規定が、「一見不法な占有とみられない財物の占有自体をも保護法益 (大塚仁・刑法概説)」としているからです。
なお、盗難に遭ってしまいどこかに乗り捨てられた自転車が撤去された場合には、撤去日の前日までに警察署に被害届を提出してあれば、撤去保管手数料が免除されるそうです。